創作は持続可能か?―第3回美浜美術作家展8/5-17
なびあすで展示されています「美浜美術作家展」の舞台裏を語ります。
※いろいろ書ききるまで追って更新します。
今回の新作はシルクスクリーンによる習作3点です。
シルクスクリーンに挑戦しようと決意したのは1年前です。
第2回美浜美術作家展が開幕したとき、
代表作「白物語」は照明調整が難しく、グループ展では個別対応に限界がありどうしても埋もれること
銅版は薬品を扱うためどこでも気軽に作れるわけではないこと
手間がかかる割に満足の行く作品ができなかったこと
…に気づき、次の表現を模索するべきではと考えました。
大学を出てしまうと、時間的にも場所的にも難しくなり創作から離れていってしまう
版画は特に難しいなと思います…
場所や状況に依らない創作ができないか?と思いたち、シルクスクリーンに取り組むことにしました。
「創作は持続可能か?」という問いを検証していきます。
ワンルームで始めるシルクスクリーン制作
2022/1
まずは、シルクスクリーンの感光機を作ることにしました。
本体は木で作ります。ヤスサキで売ってた桐集成材は軽くてよかったです。幅広は材料が取りやすくていいですね。
内側は白いジェッソで塗りました。
中のベースライトは4台。5台入るかと思ったけど結構な重さになるので4つにしました。
配線は父にやってもらいました。この辺はインターネットで調べて、情報をいろいろ組み合わせて作りました。
ガラスは5mm厚のをオーダーしました。5000円ぐらい。
しかしかなり重いので4mm厚でも良かったかもしれない…
トータル22000円ぐらいでスーツケース大の感光機ができました。
いろいろ調べましたが、角を保護しつつガラスを押さえる薄い金物ってのは見つかりませんね。あってもウッドデッキに使う大型のもので、製版時にアルミ枠にあたってしまうので諦めました。代わりにステンレスの平たい金物でネジ止めして、ガラスが外れないようにしました。
最初にアルミ枠の当てをしておいて、感光機のサイズを決めました。そうそう買い換えるものでもないので、買うアルミ枠を決めてしまうとあとが楽です。
2022/7
中古アルミ枠なるものを買いました。ついでにスキージーも。
紗張り済の中古アルミ枠10版+スキージー35cmで39000円ぐらい。
乾燥機(保管庫?)は流石に買えないので、自分で作りました。
こういうものを作るときのモットーは「すぐに作れて、解体して捨てられる」ことです。
作品のクオリティーにあまり関係ないものにエネルギー使わないのって大事かなと思うんです。だから木や釘はなるべく使わない。ダンボールを改造して作ることにしました。
たばこのカートン箱がアルミ枠の収納にぴったりでした。溝さえあれば前後のアルミ枠と触れずにおいておけるので、ダンボールの側面内側に溝を取り付けることにしました。
余ってたイラストボードに、1cm厚のスチレンボードを細く切って等間隔にスチのりで貼っていきます。
このとき気をつけるのはスチレンボードの長さをアルミ枠の高さとほぼ同じにすることです。
入り口からブレると前後の版にあたってしまうので。
ただやっぱり乾燥しにくい!感光しちゃうとまずいので隙間を目張りしてるし、7版みっちり収納する構造にしたし…通気孔も何箇所か空けたけどあんまり効果なし。
サーキュレーターを弱にして、アルミ枠の上に転がしたら多少マシになりました。
刷り台も作りました。
ヒンジクランプ(1880円)をシナベニヤ板(1280円)にネジで留めるだけ。
3000円ちょっとでできました。
シナベニヤが9mm厚で、あまり重たくないからちょっと動くけど、まぁ足で板を押さえれば大丈夫。
製版時役に立った小物
・遮光ビニールカーテン(980円)
2枚入りだったので、片方は部屋の小窓に。もう片方は感光時のカバーや未感光版の移動時にさっとかぶせて使いました。紫外線が漏れて眩しいので何らかのカバーは要ります。最初は新聞紙を広げてたけど、使い勝手が悪いです。
・滑り止めマット(400円)
カーペットの下に敷く網目状の滑り止め。40cm×120cmを一巻買ったら色んな場面で使えます。アルミ枠は滑りやすいので、風呂場に立てかけるとき当たる所にこれを一枚敷いておきます。するとバケットで乳剤引くとき、洗浄するときにぐっと踏ん張ってくれます。
まとめ:創作は持続可能!
「持続可能」をキーワードにいろいろ奮闘してみましたが、まぁやってみれば意外とできたなというのが感想です。まぁ追究しだすと困難も増えるので妥協したところもありますが…
「かつての道具を使って、ほぼ同じことが自宅でできた」これは結構な満足感を生みます。
道具を一度揃えてしまえば、ハードルはぐっと下がるので諦めずに挑戦するといいですね。
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